リヒャルト・シュトラウス 変容

クラシック音楽の作曲家の中には、ヨハン・シュトラウスと、リヒャルト・シュトラウスという、ふたりの有名なシュトラウスがいますが、後者は後期ロマン派に位置するドイツの作曲家です。
R・シュトラウスの曲の多くは、ベートーヴェンやリストといった、いかにもクラシック音楽的なものが多いのですが、この「変容」(原題はMETAMORPHOSEN といいます)は、まったくそのような印象を受けない、とても不思議な音楽です。
まず、楽器編成からしても面白いです。クラシック音楽だと、オーケストラとか、ストリングカルテットとか、数名で演奏するアンサンブルとか、大体の編成が決まっています。
しかしこの曲は、「23の独奏弦楽器」というサブタイトルがついていて、通常の編成ではありません。
そして、音楽自体も大変に不思議な感じです。有名なベートーヴェンの葬送行進曲のテーマが流れて、それを23の独奏弦楽器が次々に変奏していくのです。
元々あったものが形を変えて次々に生まれ変わるので、タイトルが「METAMORPHOSEN」なのだと思いますが、これがひとつの曲を長調とか短調といったよく知られた響きにせず、なんとも言いあらわしようのない響きに次々と移り変わっていくのです。
この音楽を聴いた時の印象は、今まで自分が見たことのない色をはじめて見たような感覚で、とても眩惑されました。
自分がふだん聞いている音楽や、生活の中でよく耳にする音楽というのは、音楽の中のほんの一部なんだなあと思いました。